雪の声

9/21
前へ
/111ページ
次へ
「さぁ、白状しなさい もし、私の下着を漁ってなんかムラムラしたとかなら許してあげるから」 それ以外は駄目ですか? 僕の事をどんな目で見ていたのかちょっと解ったのに… あんまり嬉しくないや 「いえ、それは無いです」 「それもムカつく」 腕の力がパワーアップ 「あだだだだ!」 でも右頬は柔かい いや、まぁ、それはいいとして 彼女はパッと手を離し、今度は頭を鷲掴みにする ―アイアンクロー 深夜のプロレス番組で…以下略 「私、リンゴは無理だけど… 胡桃なら潰せるからね」 ん?どっちもどっちでは? 「ち、ちょっと待って下さい! 話を!先ずは話を!」 僕の頭が潰れたトマトに変わる前に、彼女の要望に応えねば 「素直な六花は好き」 アイアンクローは抱擁に変わり 頭をポンポンと優しく叩かれ顔の位置を少しとると、僕の返事を待っているのか無言で視線だけを合わせる 正直に言わないと駄目かな? 本音を言えば言いたくない 心配させるのも嫌だし、何より僕自信がまだうまく整理出来ていない事だから でも、今見ている彼女の目を 下手くそな嘘なんかで誤魔化したくは無かった 「……あの、実は…」 まるで雪から聞こえた声 『カエリナサイ』 その言葉に僕は どう返事を返せば良いのだろう
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加