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「―――と、いう話しで…」
5分程度の短い話しだけど、彼女は黙って聞いてくれた
でもその目は不安や怒りではなく、少し寂しそうに僕を見ている
話しを終え、今度は彼女からの言葉を待つ僕は、その口が開くのをじっと待った
その『間』が少し怖くて、ギュッと体に力が入る
「食べに行こう
チョコレートパフェ」
――え?
「な、なんですか急に…」
僕の今の話は何処へ行ってしまったんだ
「ちょっとだけ遠いけど、私も少し冬休みしたいしね
有名なお店なんだからきっと凄く美味しいわよ」
無理矢理この場の空気を盛り上げようとしているのはわかるけど、それに乗っかれる気分ではなかった
「あの、桜さん…僕は真面目な話を…」
「真面目な話しだから!
……それが本当だったら
六花、帰っちゃうじゃない…」
下を向き、感情を吐き出す彼女
「…そこに何があるの?
六花にとっての何があるの?
好きな漫画もチョコレートパフェも………私だって居ないんだから…
六花は私(ここ)にいるんだもん
六花は私(ここ)で生まれたんだもん…
六花は……私にしか……帰っちゃだめなんだから…」
大粒の涙が零れ落ちる
僕は彼女を抱きしめて良いのかも解らず、ただその涙が止まるのを待った
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