雪の声

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彼女は僕に身体を預けるように身を寄せると直ぐに規則正しい寝息をたて始めた 精神的に余程疲れていたんだろうな… 僕のせいではないのかも知れない それでも何も出来ない歯痒さが胸を締め付ける 「守られてばかりだ」 彼女を起こさないように気を使いながら小声で呟く そして目の前にある彼女の髪に手を乗せ、まだ水分の残るしっとりとした感触を感じながら指を通した ヒンヤリした手触りが気持いい 「なんだかこうしていると落ち着…ぐぇ!」 腹部に丸太で突かれたような激しい衝撃 ―ドンッ!! 続けざまに彼女の両手が僕をベッドから突き落とす 「ぎゃっ!」 受身もとれずにまともに背中から落ちる 多分彼女の膝の一撃だろう受けたお腹を押さえ唸る事しか出来ない 彼女の寝相……忘れてた 狂戦士のように辺りの物を見境無く排除し、かけた布団も僕の方へ蹴り飛ばされてきた ベッドの上には素っ裸の彼女だけが残された いけない 健康的にも、なんか見た目にも その強い思いが僕を立ち上がらせた タンスを開け手探りでパジャマを取り出す 洗濯と収納は僕の仕事だから見つけ出すのには苦労しなかった
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