雪の声

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――翌朝 「そろそろかな…」 時計に目をやると、いつも彼女が起きてくる時間になっている 自分でした事ながら、よく今まで眠れたもんだと感心していた ―そして程なく 「りーっか!りーっか!りーっか!りーっか!」 朝から近所迷惑な音量で喚く彼女の声 「……さてと」 ソファーから立ち上がり、のんびりと彼女の部屋に向かう その間も彼女はひたすら騒いでいる 「今なら許す!多分許す!ごめん、許せないかも!」 なんだかドアを開けるのが躊躇われる言葉が混ざっていた ―ガチャ 「おはようございます」 ドアの先には昨夜の姿 俗に言う『すまきスタイル』の彼女がベッドの脇に転がっていた ……頑張って移動したのかな 文字通り足元に転がる彼女を見下ろしながら思った 「ねー六花? 『おはようございます』の前に言う言葉があるような気がするの、私」 彼女は笑顔だ とてもとても怖い笑顔だ 「変わったパジャマですね」 「コンニャロ、よく言った 卍?卍がいい?コブラ?コブラにしようか?」 手足の出せない彼女は代わりに殺気を出してくる 「うーん、どっちも痛そうなんで…… ……このままで、じゃ」 軽く片手を上げて立ち去る 「あ、ウソウソウソ! 待って!話し合おう? 卍かコブラかはそれから…」 ―パタン もう少し弱るのを待とうと感じた僕だった
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