雪の声

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………………………… 彼女は悩んでいる 僕の質問にこれ程時間をかけるなんて見たことが無い 知識と呼べるものが殆ど無かった僕は、今まで彼女に沢山の質問をしてきた それに対して彼女は素早く、そして解りやすく答えてくれた しかし今 彼女は苦渋の表情を浮かべたまま黙ってしまった 『もう少し下』恐るべし! なんてことを考えていると 「……………毛」 口元を布団で隠したまま、彼女がポツリと言った 「……ケ?」 なんだ? そんな一文字の為に彼女は悩んでいたのか? いや、もしかして言いかけて止めただけなのかも… 今度は僕が悩む番だ 「ケ……け…………毛?」 ―はっ!もしや! 幾つかの点が繋がり線になる ―毛 ―お腹より下 ―恥ずかしい 多分、これしかない しかしこれは男女問わずして恥ずかしいものなんだろうか? 新たな疑問も浮かんでくるが、僕にはハッキリとした心境の変化があった 「なんだ…股にあるヒゲみたいなヤツのことですか… つまんない…早く着替えて下さいね」 ―パタン やれやれ、毛なんて頭にもあるだろうに… 興味が完全に失われ、彼女の部屋を出た……途端 「馬鹿ぁぁぁーー!!! りーーっかの馬鹿ぁぁぁ!!」 咆哮ともいうべき彼女の叫び声が背中を震わせた 彼女の怒りの原因 その謎だけは解くことが出来なかった
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