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ドアの開く音にすら気づかないなんて…
背後でコワーイ顔したお姉ちゃんが睨んでいる
ウサギさんスリッパ片手に
「あ、これは……その…」
誰が見たって現行犯
言い訳なんて思いつくはずもなかった
『おい!どうした?
お姉ちゃん帰ってきたみたいだけど…』
受話器から男が何か言っているが、もうそれどころではない
彼女は固まっている僕から受話器を奪い取り、相手の男に一言
「89のE!!」
―ガチャン!
暗号のような言葉と受話器を叩きつけた
彼女の肩が激しく上下しているのは怒りからきてるものだと推測する
もちろん発信源は僕だろう
「オカエリナサイ」
機械的ですいません
真っ白な頭で唯一出た言葉がそれだった
彼女はくるりと回って振り向くとニコッと笑い
「詳しく教えてね♪
…洗いざらい」
持続時間2秒の笑顔
―好奇心は人をも殺す
どういう意味かと思ったが…
なるほど、こういう事か
刑事ドラマの取り調べ室よろしくテーブルの前に正座して、『電話』に対しての熱い想いを語る…いや、自供する僕であった
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