心を残した場所

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―――――――――― 「まぁ、気持ちは分かるわ」 ソファーで足を組み、静かに目を伏せて頷く彼女 ―良かった、黄色だ 組んだ足の隙間から彼女のパンツが見える 電話の男に嘘の情報を与えなくて少しホッとした 「ん?どこ見てるの? もしかしてパンツ? やっとその気になってきた?」 さっきまでの怒りオーラも何処へやら 彼女は嬉しそうにスカートをパタパタと扇ぎだした 「いえ、全然 ただ電話で話した男性が…」 「それも言ったんかい! ―って『全然』て何よ!」 怒りオーラ復活 パンツの色も個人情報とやらに含まれるようだ 「……でも、電話の人がどうしても知りたそうだったから」 僕は良かれと思って… 失礼の無いようにって… 「…人並みに…人並み…に」 何だかとても悔しくて 情けなくて… 「六花? ―あっ…ごめん!言い過ぎた! 違うの、私は別にそんなつもりじゃ…」 視界が涙で滲む そうか…僕は今泣いてるんだ そんな僕を見て彼女は慌てて僕を抱きしめる 「ごめんね? 六花は皆のしている事がしたかっただけなのに…」 彼女が謝る でも謝らなきゃいけないのは僕だ…約束を破ったんだから
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