心を残した場所

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優しく感じるのは温もりと色 ―彼女から伝わる体温と それを包む肌の色 頬をくすぐる髪の色 僕を見つめる瞳の色 ―そして近づく唇の色 微かに触れ そっと離れ 暖かい吐息に言葉が続く 「……ごめんね」 抱きしめる力を緩め、身体を少しだけ引いた ―感謝のしるし それ以外の意味のキス そう感じたのは 悲しそうな彼女の表情 「そんな顔しないで下さい… 約束を破って電話を使ってしまった僕が悪いんです…余計な事まで喋って…」 僕が好奇心に負けなければ 今、彼女にこんな顔をさせないで済んだのに 「……うん じゃあ、六花が全面的に悪いってことで…」 「はい…………はい?」 トーンダウンしていた彼女の声に、言葉が釣り合ってない気がする 「…悪いのは六花 悪い子には罰……よね えーと…今回のが…5ポイントくらいかな」 僕を抱きしめたままブツブツと呟いて、身体をゆっくりと揺らす 「あの…まぁ、僕が悪いんですけど、『ポイント』って…」 「…そうだ、『スマキ』にされた……あれが8ポイントとして…」 どんどんと加算されていくポイントに身の危険を感じた ―逃げよう 邪な計算に集中している彼女の隙をついて…
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