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彼女の技から解放されたというのに、何故かまだ彼女の腕の中にいる僕
拘束力はそれほどでもないが、離れようとすると引き込まれるという作業を何度か繰返していた
「なんで逃げようとすんのよ」
カーペットで横になりながら彼女が不満そうに唸る
「なんで放してくれないんですか?」
同じく横になり、後ろから抱きすくめられている僕
「なんか…この白くてサラサラした髪が気持ち良いのよ」
そう言って僕の頭に顔を擦り付けてくる
「―の、割に
お腹を直に触ってくるのは何故ですか?」
―逃げたい理由はこれ
くすぐったくて仕方ない
「ふん、なによコレくらい…
本当は上か下に移動させたいんだから…」
ブツブツと何やら文句を言うだけで、解放する気も手を止める気も無いようだ
「買い物行ったんですよね?
『必要なもの』って何だったんですか?」
彼女の気の済むまでと諦め話題を変えた
―と、腹をまさぐる手が止まる
「あ、そうだった!」
ガバっと体を起こし、玄関に置きっぱなしの買い物袋へと走る
おお…
『押して駄目なら引く』というヤツか?
今の内のと起き上がり、僕の定位置であるテーブル前で座り直す
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