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「……買う必要あったんですか?」
テーブルに乗りきらない量の品々を見て、思っていた疑問を口にした
何故なら衣類はともかく、どれもこれも家に有るものばかりだったからだ
それをわざわざ出掛けて、お金を使ってまで揃える必要があるのだろうか?
「…新しくないと駄目なの」
テーブルから僕用と思われる青い靴下を手に取り、視線を落とす
「六花は旅行が初めてで、私も六花と旅行するのは初めてでしょ?
だから《初めて》に拘りたいの
そして持って行くもの全部に思い出を残したい
これは六花と一緒に旅行に行った時の…って」
彼女が口にした全てを理解することは出来なかった気がした
でも、この時はっきりと感じた
これは最初で最後の『旅行』
彼女もひょっとしたらそう感じているんじゃないかな
だから……
「楽しみですね?」
―会心の笑顔
僕に出来る感謝の伝え方
「うん!楽しもう!」
―彼女には伝わる
だって笑ってくれるから
行き先は彼女の地元
そう知ったのは『電車』という乗り物の中での事
彼女が両親と過ごしていた場所へ、再び彼女が足を運ぶ理由は何なのかな?
それは『ぱふぇ』のためだけでは無いように思えた
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