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「やあ、しばらく
桜ちゃんが来てくれて嬉しいよ
随分と綺麗になったね」
倉田さんと呼ばれた男性は、穏和な表情で彼女を見つめる
年齢を推測するには経験不足な僕の感想では、《オヤジ》と称される存在より上で、《オジイチャン》よりも下という印象だ
働く男性の象徴たる《スーツ》に身を包み、細身ではあるがピンと張った背筋がその身体を大きく見せた
「今日はお世話になります」
彼女の表情も柔らかく、親しい人に接する安心感が見られた
そんな二人を斜め後ろから眺めていると、オジサンの視線が僕とぶつかる
「おや?桜ちゃん…
そのコが桜ちゃんのお友達かい?二人とは聞いていたけど、まさかこんな可愛らしいお連れさんだったとはね」
オジサンは上半身を屈め、「初めまして」と笑顔で挨拶をくれた
僕もつられてペコリと頭を下げる
でも、この反応って…
「あ、紹介します…おいで…」
彼女がパタパタと手招きする
「えーと、この子は六花
ぶっちゃけ私の彼氏です」
…………………
「――彼氏!?
えっ?こ、お、男!?
いや、子供…えっ?何歳?」
案の定、取り乱すオジサン
だろうね…
第一に僕を女の子だと思っていたんだから
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