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―イオウ?
この悪臭の原因を教えてくれたのは倉田さん
「温泉に含まれる成分で、強すぎれば毒にもなるけど適量であれば色んな効能を得られる
ま、臭いはこんなんだけどね」
解ったような
解らないような…
「私が臭いの元じゃないって事だけ頭に叩き込んどいて」
―了解です
そう思わなければ
今、僕の脇腹をツマんでいる彼女の指がどうなる事か…
「いやぁ、仲がいいね
見た目は…っと、これは失礼
身長差から見て恋人というには違和感があったけど、桜ちゃんの表情で解ったよ
いい人に出逢えたみたいだね」
車の鏡に映る倉田さんの目が、一瞬だけ彼女に向けられた
「はい、愛は身長を超えます」
解ったような
解らないような…
でも彼女の好意はどんな場合であっても嬉しい
「ハハハ、それはご馳走様
―さてと、そろそろ到着だよ」
幾つもの大きな建物が道路の両端に見える
その内の一つ
他の建物よりもやや奥に引っ込んだ位置に入り口が見え、道路から入り口までの空間に車が入っていく
そして入り口の前には確か《着物》と呼ばれる服を着た女性が立っていた
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