37人が本棚に入れています
本棚に追加
物腰の上品な着物の女性が車のドアの前に立ち、僕達が出てきたところを笑顔で出迎えた
「いらっしゃい、桜ちゃん」
「お久しぶりです、叔母さん」
車から降りた彼女は穏やかな笑みで返す
オジサンにも見せたいつもと違う僕の知らない彼女の表情
「少しふっくらしたんじゃない?……あら?その子がお連れの方?」
彼女の後ろに隠れた形になっていた僕に気付いたオバサンが、覗き込むようにして聞いてくる
「…初めまして、六花です」
一歩前に出て自己紹介
ペコリと頭を下げて見よう見まねの挨拶をした
「驚くなよ?
この子は桜ちゃんの彼氏なんだよ」
倉田さんがニヤっとしながらオバサンに補足した
その言葉にオバサンは目を丸くして僕と彼女を交互に見やる
「え?彼氏?男?え?男?」
『男』が二回も出てきたのはやっぱり…
明らかに混乱しているオバサンに、彼女が説明を加える
「はい、彼氏です!
付き合ったばかりですがラブラブ極まりない感じでなので布団は一つ、枕は二つで」
その説明と要望は必要なのだろうか?
オバサンは彼女の説明に一段と驚いた様子で、口元に手を当て彼女の肩をバンバン叩く
「まあー!なんか色々凄くて困っちゃうけど何だか嬉しいわ!
精のつく料理にしとくわね?」
いらない気を遣われてるような気がします
最初のコメントを投稿しよう!