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通路の自動販売機に目を奪われながら、彼女が足を止めた場所で僕も止まる
シンプルなデザインの暖簾が目には入る
青地に《男》
赤地に《女》
入り口は各一つずつ
「じゃ、また後で」
そう言って彼女は《女》と書かれた方向へ向かう
なるほど
どうやら温泉とは男女別々の風呂が用意されているようだ
まぁ、僕の今まで蓄積された情報からは簡単にその理由を弾き出せた
―即ち、これ《犯罪防止》
性犯罪が多発する昨今
男女が一つの空間で裸を晒すなど言語道断と言えるだろう
なんかソレっぽい事言ったぞ僕
「どうしたの六花?
心配ならこっちくる?」
立ち止まり思案顔の僕に彼女はなんて危険な台詞を…
「いえ、僕は犯罪者にはなりたくありません」
……………………
「あ、うん…
六花ならギリ大丈夫だと思うけど…じゃあね?」
なにやら複雑な表情を浮かべる彼女はそう言って赤い暖簾の奥へと消えて行った
こうして犯罪は僕の強い意識により未然に防がれた訳で…
何だか少しだけ大人になった気分で暖簾を潜り、浴室へ入ると数人の男性が着替えをしていた
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