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周りに倣って浴衣を脱ぎ、何とも言えない気恥ずかしさを感じながら数字の書かれた沢山の箱の一つに脱いだ浴衣とパンツを入れ鍵をかけた
数人が腰にタオルを巻くなり当てているのに倣う必要があるか分からないけど、僕は一番気にしている白い髪にタオルを巻く事を選んだ
なにはともあれ
彼女の迷惑とならぬように
《普通の人》として大衆の娯楽の一つ、温泉を普通に楽しむだけ
―ガラガラ
「で、でっかぁぁーーい!」
僕の声はびっくりするほどお風呂場に響き渡った
無論、注目の的です
「あのお兄ちゃん、変」
小さな子供のこの呟きは、僕の今後に大きな傷を遺すだろう
しかし今はこの巨大なお風呂を満喫しなければいけない
鼻につくイオウの臭いは相変わらず馴染めないけど、幾つか種類の違う浴槽が気になって仕方ない
「先ずは身体を洗ってから…」
彼女から教えられた入浴のマナーだ
壁際に並ぶシャワーも圧巻で、どれを使って良いか迷うほどだ
「好きな場所でいいのかな?」
入り口に近い場所のシャワーを選び、置かれている椅子に座る
―が
「………蛇口が無い」
なんたる事か
お湯って蛇口を捻って出すんじゃないの?
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