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だが僕はここ最近培った観察力をフルに発揮し、注意深く備え付けの設備を見る
お湯が出てくるだろう箇所は分かりやすく、直ぐに発見できた
しかし捻るべきモノが無い
「ん?この色が着いたモノは何だ?」
彼女の家にある蛇口とは付いてる向きが違うが、見た目は酷似している
良く見れば
青色の所には《つめたい》
赤色の所には《あつい》
という文字が小さく書かれている
―なるほど
子供も利用する場所に、難しい操作法などあるわけがない
僕は《あつい》の方向へグイッと回し、残されたレバーがお湯を出すモノだと確信して、お湯が出てくるだろう箇所を見つめレバーを倒した
「うひゃゃぁぁあ!!」
下から出てくると思ったお湯は、熱湯のような温度で上から降り注いできた
慌ててレバーを上げるとシャワーがピタリと止まり、同時に周りの音も止まっている
…やってしまった
恐る恐る振り向けば、沢山の視線が僕へと向けられている
「あのお兄ちゃん…
やっぱり変だね」
子供の言葉に何人かの大人が無言で頷いていた
温泉、恐るべし…
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