第一章

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俺は休み時間になっても さっきの夢が気になっていた 「俺に頼み事ってなんなんだ? ああもうマジ訳わからんし……」 本気でなんの事だかさっぱり 分からない 金でも貸せってか?サラ金? あ、でも夢じゃんかアレ ボケーッと考え事をしていた 俺の視界に何かが覆い被さった 「とわっ?!」 「なーに湿気た面してんのさっ。」 変な声だしちゃったよ…… ちくそう…… 俺は声の主に文句を言おうと 覆い被さったものを剥ぎ取る すると見慣れた黒髪が見え 「よっす!キリー!」 意気揚々と挨拶してる馬鹿っぽい ガキンチョな幼なじみ 貴様の自慢気なサイドテール 解いてやろうか 「あのなぁ……考え事中は 止めてくれよ……アリカ。 あとこの変な牛みたいの何?」 俺は不満を漏らしながら 頭に被せられた物を見る それはパンダのような 牛のようなブッサイクな顔付きの フード付きの布地だった ……相変わらず趣味が悪い 一方アリカはと言うと俺の何かに 興味を示したように目を輝かせ 「えっ!?キリトが考え事?! 珍しい!!まさか…… 好きな人でも出来たのか?! よーしこのアリカちゃんが 協力してやろうじゃないかっ!」 迷惑極まりないな話だ…… コイツが協力なんて無理に 決まってる だって俺の好きな人は…… 「あとそれは犬!わんちゃんっ! 犬の着ぐるみなんだ♪ 可愛いでしょ!!」 意気揚々と見当はずれな事を言う アリカに俺は少しふてくされて 「ちげぇよ馬鹿が……ハァ、 あとコレさぁ…… どう見ても犬に見えねーって マジ趣味悪い……」 俺は被せられた着ぐるみ? をポイッと背後に放りながら言う するとアリカは只でさえ デカい目をさらに見開き 「ななっ?!違う!絶対違うし! ウチ馬鹿じゃないから! 馬鹿じゃないもんねー! あとっウチの可愛いわんちゃん 捨てんなバカ!買ったばっか なんだぞっ!」 犬もどきの恨み?なのか 俺に殴り掛かるが痛くも 痒くもない、まあガキンチョだし 自分に降りかかる蔑称を 否定しようとするアリカの姿は、 誰がどう見ても子供だった。
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