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「………」
ただ黙って、信長の顔を見つめる濃姫。
この状況に、戸惑っていた。
信長は、濃姫の顔を見つめ返すと、いきなりフッと鼻で笑った。
「なんだぁ?その顔はッッ」
「!!!…何だって何よ!?」
「ボサァーって口開けて。お濃のこんなに不細工な瞬間、初めて見たぜ」
ボサァーって口開けてんのは貴方でしょ?!
濃姫は眉をしかめる。
その表情を見て、信長はにんまりと笑う。
どこまで憎たらしい奴!?
「……ま、でもやっぱそういう所が可愛いんだけどな」
と言って、濃姫の肩を抱く。
「な……最悪!!」
頬を真っ赤にしながらも、キッと信長を睨み付ける濃姫を、信長は楽しそうに、さらに強く肩を抱いた。
……………息が止まりそう……。
「……お濃」
すぐ耳元で囁く声。
背筋がぞわっとするけど、心地悪いものでは無かった。
「……何…?」
上目遣いに信長を見上げる。
「…言ったろ?俺は死なない。殺されない」
優しい声………。
どうやら彼は、心配する私を気遣って、安心させようとしたみたい………。
これが……彼の優しさ………?
「……うん…」
今は彼の優しさに甘えよう。
濃姫は、自らの身体を信長の肩にもたれた。
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