揚羽の嫁入り

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相手との初の対面。 その人が、私の殿となるお方………。 深呼吸すると、濃姫は勢いよく引き戸を開けた。 袴をキチッと着た後ろ姿。 彼の父親と思われる男が、濃姫に気付いた。 「おお!!御主が信長の言っていたお濃殿か!!」 「えっ?」 その時、後ろを向いていた袴の少年が振り返った。 「よう!!濃姫さんッッ!!」 「……………!!!?!?!」 濃姫は絶句した。 何故かと言うと……………………………………… この少年、あの冬に出会った少年だったからだ。 「あ……貴方………」 あまりの驚きに失神しそうになる。 「ははっ。驚いた?」 「………」 声も出ない。 「今日から俺がお前の殿だから。んまぁ、ヨロシクなぁっ」 と言って、少年は自分の隣の座布団を叩いた。 濃姫は躊躇いながらも座る。 こうして、挙式が始まった。
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