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「たまたま、遊び回ってたときに、お濃を見つけた。
で、親父に蝮の娘はスゲー可愛い子ちゃんだって言ったら、やっとお前にその気が出たかって。
蝮の所まで飛んでいってさ。それで今に至るってこと」
たはは、と信長が笑う。
「いわゆる……一目惚れ?ってわけだ」
濃姫は、悪ふざけでもしているような信長を、嘲るような目で見据えた。
「有難う。でも、ごめんなさい。私、だらしない人は嫌いなの」
信長は、ちょっと驚いた表情を見せたが、直ぐに笑い飛ばした。
「嫌いで結構。馬鹿と嫌いは誉め言葉だ」
前に聞いた言葉を言う。
「それに、俺らの結婚は、好き嫌いなんて関係ねぇ政略結婚だ。お前だって、情なんか望んじゃいないだろう?」
「そうよ。私が望んだのは美濃の平和。貴方の気持なんて関係ないの」
濃姫はすまして言う。
だが、この大馬鹿者は……
「ひゅうっ!そう言う冷たい女、嫌いじゃないぜ」
「はぁ!?」
思わず叫ぶ。
顔が熱いけど、フンとそっぽを向いた。
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