うつけを殺せ

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……!? 濃姫は目を開けた。 そして、言葉を失った。 信長の喉すれすれに、小太刀が刺さっていた。 そして……… 「お濃」 濃姫はビクッとして信長を見る。 信長はゆっくりと目を開けた。 「………」 防御体制をとるように、濃姫は小太刀を構える。 「気付いて居ないとでも思ったか?」 上半身だけ起こす。 やはり前は全開に開けている。 「………何が?」 「お前が毎晩、俺の首筋に刃をあてている事。いや……殺そうとしている事ッッつった方が正しいか」 信長のいつになく真面目な顔に、濃姫は怯んだ。 「…………そうよ。うつけを殺せって、父上に言われてね」 相変わらず冷たい態度で答える。 本当は凄くビビっているけれど。 「そうか………」 信長は鼻で笑う。 「俺もなめられたもんだな。こんな娘に殺させようとするなんてなぁ」 どさっと大の字に寝そべった。 「なぁお濃。やっぱり俺は、うつけにしか見えないか??」 「ぇえ」 「………ンなら俺の勝ちだ」 ………? どういう事なのだろうか。 全く理解出来ない。 信長がクククッと笑う。 「何よ?」 「理解出来てねぇみたいだな。やっぱり俺の一人勝ちか♪」 ………何もかも、見透かされてる……?? 不意にそう思った。
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