407人が本棚に入れています
本棚に追加
二人は、城に向かってノロノロと歩いていた。
そういえば、道三の命日は3月3日だ。
今日は雛祭りなのだ。
まあ、ほんの余談はさておき、信長と濃姫は、ふざけあいながらの帰り路。
二人の周りを、小さな白い蝶が、三羽、ひらひらと舞う。
美濃を出てからと言うもの、あの紫の揚羽を見なくなった。
きっと、また、母小見の元へ帰っているのだろう。
不意にふわっと桜がまう。
「綺麗……!!」
濃姫は嬉しそうに、両手で花びらをすくう。
そんな濃姫を、信長はいとおしそうに目を細めて見ていた。
「あら、貴方、凄いアホ面」
「いやぁ~……お濃は本当に可愛いなぁ」
ただのノロケ。
「ありがと。貴方は本当にアホ面だけどね」
濃姫は、ちょっぴり嫌味っぽく笑う。
「私には釣り合わないわ」
「そうかぁ……?」
信長は鼻の下をこする。
「うつけと凶暴女。ぴったりだと思うけどなぁ」
「な……凶暴じゃないし!!」
その時、佐久間盛重が走って来た。
「若殿ーッッ!」
「ぅん?どした。盛重」
盛重はサッと信長に手紙を渡した。
最初のコメントを投稿しよう!