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濃姫は、ただただうなだれていた。
ぼうっと、白い三日月を見上げ、深くため息をつく。
この世の男は馬鹿だ。
馬鹿すぎる。
男という生き物は、馬鹿しか居ないのだろうか。
「お濃………」
スッと戸を引き、信長が入ってくる。
「信長殿………」
信長は何も言わず、濃姫の隣に立った。
中庭の池に映る月が美しい。
二人はしばらく、それを眺めていた。
「やはり、お前の親父と兄貴が気掛かりか?」
そう、今、濃姫の父斎藤道三と、兄の義龍の間で争いが起きていたのだった。
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