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「父上も父上で、あんなガキは息子じゃないって言い張って、普通に軍を揃えている…………親子揃って……なんなの…………」
馬鹿にしたように鼻で笑う濃姫。
だが、その横顔は、どこか淋しげで悲しげで………。
「私は………どちらも死んで欲しくない……」
「お濃」
信長が名前を呼んだ。
優しい声………。
「オレが加勢するなら、道三だ。お前を貰った恩もある。
出来れば直ぐにでも加勢してやりてぇが、手が回らねぇんだ」
今は信長暗殺計画に手を焼いているのだ。
「それは……わかってる……でも………」
「オレが着いてるから」
信長は、濃姫の肩に手をまわした。だが、濃姫はその相手にもたれる事なく、キッと睨み付け手を振り払った。
「……わかって無いクセに…!!」
吐き捨てるように言うと、サッと立ち上がり、出ていく濃姫。
信長は、その後ろ姿を見送りながら呟いた。
「オレで………すまん……お濃………」
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