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1. 鯛焼きもう一個
陽も暮れかけた部活の帰り道。
駅前の小さな鯛焼き屋では、おばちゃんが手際よく鯛焼きを焼いている。
嵐は駅から出てきた人ごみの中に紺色のブレザーを見つけた。
楓が通っている高校だ。
今日の夕飯何かな?
鯛焼きを手際よく袋に入れる後姿に一声かけた。
「おばちゃん、やっぱもういっこ。白あんね。」
お土産にしよう。
嵐はしわしわのおばちゃんの手に小銭を置いた。
アツアツの紙袋を手にした嵐は、鯛焼き屋を出て店の隣に止めてある自転車に向かおうとした。
目の前にいた、紺色のブレザーの女の子と目があった。
その眼は真ん丸で。
口は何か物言いたげ。
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