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その女の子の服装は、楓と同じ学校の制服。
小柄で細めの体つき、胸まである黒い髪、黒目がちの目と赤い唇。
多分、写真で見たことがある。
楓の彼女。
可愛かったからすぐに覚えた。
好みのタイプとは違っていたけど。
ええと、確か、
「美保ちゃん?」
「え。」
少女の目が更に大きくなる。
「え。あ。もしかして、楓くん、のお兄さん?」
少し高めの、鈴が鳴るような声だった。
「そ。嵐デス。」
にこりと微笑む。
びっくりしたーっ、と言って美保は胸を撫で下ろす。
「ほんとにソックリですね。」
そう、かな。
やっぱりそう見えるかな。
まぁ、言われ慣れてるけど。
自分と”そっくり”と言われる楓が選んだ子が、一体どんな子なのか、興味があった。
「鯛焼き、食べる?丁度2コあるんだけど。」
嵐はまだほかほかの鯛焼きの袋をかざした。
「それって、もしかして楓くんの分じゃないんですか?」
「いーのいーの。せっかくならアツアツの内に食べないと。」
でも、と言いたげな表情。
「黒あんと白あん、どっちがいい?」
美保はにこ、と笑って
「じゃあ、お言葉に甘えて白あん。」
楓と同じ事を言う。
二人ともそう思った。
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