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2. 似てる
何もない小さな公園のベンチ。
甘い鯛焼きと温かいお茶。
「この組み合わせって冬が来たーって感じだよね。」
「そうですね。」
「何で敬語?」
「え。あ…。」
「普通にいいよ。」
じゃあ、と美保ははにかんで笑う。
美保は明るくて、よく喋って、でも煩くない。賢そうないい子だった。
その上可愛い。
楓も隅に置けない。
話題はもっぱらこの双子のことだった。
「さっきは楓くんと間違えて焦っちゃった。さっき別れたのになんでいるのー?って。」
美保が笑う。
「よく間違われる。けど、そんなに似てるかな。」
美保がぱっ、と顔をあげる。
その勢いのよさに逆に嵐が驚いた。
「似てるよー!一卵性でしょ?」
何言ってるのと言いたげ。
そして、確かめるように言葉を続ける。
「本当に似てる。見た目だけじゃないよ。楓くんも絶対『どっちがいい』って聞くもん。」
あ。
染み付いた習慣。小さな頃からの。
同じ環境で育った印。
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