3. 冬の夜

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夜も随分冷え込むようになった。 寒くなると決まって、楓は嵐のベッドに潜り込む。 小さい頃からずっとそう。 いい加減体も大きくなって、二人で寝るには少し狭い。 けれど、なんだかんだ言いつつもいつも嵐はそれを受け入れる。 「嵐ー。入れてー。」 返事を待たずに布団に入り込む楓。 「お前一人で寝れねぇの?」 そう言いながらも拒まない嵐。 楓は鼻まで布団を被る。 「あったかい。」 寝返りを打って嵐のほうを向く。 そして無言で手を握る。 嵐もそれを握り返す。 一点で体温がぶつかって、溶けて、混ざって。 一番よく知っているこの温度が、一番よく眠れる。 楓は早くも寝息を立て始めた。 寝起きは悪いが、寝るのは早いのだ。 嵐は暫く楓の無防備な寝顔を眺めていた。 明るくて、よく笑って、甘え上手な、自分と似て異なる顔をした楓。 草臥れた髪を撫でる。 美保の顔が重なった。 楓もあの子の前でこんな無防備な姿を見せるんだろうか。 あの子にどういう風にキスをするんだろうか。 あの子をどういう風に抱くのだろうか。 自分と殆ど同じ顔で。
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