3. 冬の夜

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寝息を立てる楓の顔に嵐はそっと自分の顔を近づけた。 その気配に気づいた楓はうっすらと目を開いた。 一度寝たら起きないとばかり思っていた嵐は一瞬戸惑った。 けれど、引っ込み方も、誤魔化し方も、知らなかった。 そのまま、唇に唇を当てた。 楓が嫌がりも引きもしないから。 嵐も止めなかった。 あっさりと割れた唇の隙間から、楓の体温を感じた。 舌を追う。 それに応える。 呼吸を感じた。 あぁ、やっぱり同じなんだ。 「ん…っ。」 楓の整った眉が歪んだ。 嵐はゆっくりと口を離した。 「…苦しいって。」 眉を寄せた楓が放った言葉は、たったそれだけ。 動じることのないその瞳は、まっすぐ嵐を見ていた。 こんな瞳、見たことない。 潤んだ唇が目に入る。 こんな唇も、初めて見た。 あの子が知っている楓を、自分が知って何が悪い?
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