天国のような地獄の始まり

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「シスター、清掃完了しました」 「ご苦労様。休憩終わったら看護にあたって」 「分かりました」 とある日、ここバスカル マナ区にある教会で、僧たちが忙しなく動いていた。清掃を行っている僧、薬草を運ぶ僧、応診する僧など様々だ。 一口に僧と言うが、医師・看護師、薬剤師、学者など違う職業を持つ。 ここでは、珍しいことに小さな病院も併設しており、様々な冒険者たちが利用している。 「アリサ、只今参ります」 「良かった。丁度人手が足りなかったところなのよ。あちらの患者さんにこの薬を渡して」 「分かりました」 アリサと呼ばれる女性は、新米のビショップ。回復魔法の勉強に日夜励んでいる。 「こちらですね。はい、どうぞ」 「有難う御座います。いつも悪いわねぇ」 「いえいえ。患者を一人でも多く救うのが私たちの役目です。 どうかお大事に」 今日も一人、患者を救うことができた。アリサにとってそれが何より幸せなことだ。
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