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「シスター、アリサのことで話があるのですが」
事の始まりは、アリサの友人がシスターに言った一言がきっかけだった。
「アリサ……本当にあのままでいいのでしょうか」
「あのまま、とは?」
「あれですよ、あれ! 『男嫌い』! いつまでも冒険者の治療ができませんよ!」
シスターは難しい顔をしながら溜め息混じりに言う。
「確かに……これだと彼女は進歩しませんねぇ……。いくら冒険者の中に女性がいると言っても圧倒的に男性が多いからねぇ……」
「あたしも、彼女と医療系の仕事したいです! その為にはそれを直さないといけません! だから……」
「……分かりました。何とかしましょう」
「! あ……ありがとうございますっ!」
彼女はとても喜んだ。『友人を救いたい』そんな願いが届いた瞬間だった。
「但し、アリサさんには秘密ですよ」
シスターは一言、念を押すように言う。
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