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第一ノ男。―喧嘩―
何をする訳でもなく、穏やかな子供染みた恋人生活が流れていた。
公園に座り込み、お互いの話しをしたり、デートを重ねた。
初めて身体を交えたのも彼だった。
今迄に無い刺激を与えてくれたのが彼だった。
けれどやはり同じ職場という事実は拭いされず、ァタシは彼との楽しい時間に仕事上の不平不満を紛れ込ませてしまったのだ。
聞いてくれると思った。
慰めてくれると思った。
けれど彼はそれどころか、年上染みた説教を始めたのだ。
始めはァタシも其の言葉に耳を傾けていた。
でも終いには彼の中にァタシの意見や考え方は少しも聞き入れてはもらえなくなっていた。
未熟なァタシには限界だった。
顔を合わせる度に喧嘩の毎日。
付き合うという事は既にァタシの中で、幸せではなくなっていた。
呆気ない終わり。
互いに友人である形を選択せざるをえなかった。
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