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芹沢の数歩後ろを歩く千景。
殆んど外に出られなかった千景だが、芹沢の噂は耳にしていた。
自分に何の用なのだろうか。
何処に連れて行かれるのだろう。
不安しか感じないが、大和屋を出た今、頼れるのは芹沢だけである。
到着したのは、新撰組屯所であった。
芹沢は千景に待っているように告げ、屯所の門を潜った。
すぐさま、音を聞き付けた千歳が駆けてきた。
「おじちゃんっ!おかえりなさーい」
抱き付き、にっこりと微笑む。
千歳の目線までしゃがみ、芹沢も微笑んだ。
「千歳、お前に会わせたい人が居る」
「あわせたいひと?」
芹沢は頷き、門へ向かって叫んだ。
「入ってこい」
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