籠女‐かごめ‐

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  籠女籠女 籠の中の鳥は いついつ 出やる…   夜明けのばんに…   鶴と亀がすべった        『昔々より 言い伝えし かごめ かごめの物語は…』     遊廓から、亀と逃げた籠の鶴… すべった鶴は、地獄に帰る    籠の中はさぞかし辛かろう   心を凍らせ 体に値を付け 好かぬ男に その身を委ね 好いた男とも結ばれぬ   おまえはあたし あたしはおまえ     いつから私を見なくなったの? なにが狂ってしまったのかしら だれが狂わせたのかしら?   もうどうでもいい そんなことは どうでもいいの   私は逃げるわ わたしが逃げるわ 戻りはしない       ‐いついつ 出やる     「ねぇ、あなた」     ‐夜明けのばんに     「かごめってわらべ歌、知ってるでしょ?あれって…」     ‐鶴と亀がすべった     わたしの手には…   憐れなあなたの鳥籠が…             
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