今という日

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    レンガ造りの家々が並び、間を縦横無尽に小道が走る。 その一つを、足取り軽くキリが歩いていた。 やがてこじんまりとした家の前に立ち止まり、木造のドアをノックする。 「ルイー。遊びに行くぞー」 常ならこれですぐにルイが顔を出すのだが、どういうことか反応がない。 家の側面に回ってみると、この日だけは開いているはずのカーテンが閉まっていた。 「おーい。いないのかー?」 それでも反応がない。 ――からかわれているのかもしれない。 思ったら腹がたってきた。 しつこく叫び続ける。 「おーい! おーい!」 すると、キィーと甲高くちょうつがいが軋み、玄関ドアが開いた。 「なんのようですか。うるさいですよ」 出迎えたのは老婆だった。 一瞬ルイがしわしわのおばあちゃんになったのかと思ったが、冷静になれば何度か会ったことがある。 老婆は、ルイの世話をやく侍女だ。
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