-始-

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    「樹、そろそろ起きる時間ですよ」   鷹彦はそう言いながら、気持ちよさそうに眠っている樹を優しく揺すった。 柔らかな振動で樹は目を覚まし上体を起こして   「鷹兄? おはよう」   と鷹彦に向かって笑みを浮かべた。 樹の笑みを受け、鷹彦も笑みを浮かべ   「朝から樹の笑顔を見れるなんて幸せですね」   と樹に抱きつこうと両手を広げた。 反射的に樹は身をかわす。 抱きつく相手を失った鷹彦は転びそうになるのをすんでで留めたが、その反動で手にしていた新聞が散らばった。   「あーぁ、なにやってるんだよ鷹兄」   呆れながら樹は布団から出て、散らばった新聞を集めた。 ふと、ある記事が目に付いた。   『怪異!? 炭とかす人! 連続人火殺人か?』  
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