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眉をひそめながら樹は記事の内容を読み進めた。
『12日の未明、高松の路上に炭とかしたような遺体が発見された。遺体の様子から連日見つかっている他の焼死体との関連を……』
真剣に記事に目を通している樹をみて鷹彦も横から記事を見た。
記事の内容を確認すると新聞を樹からとりあげ
「樹は新聞を読む前に朝食を食べてください。せっかくの食事がさめてしまいますよ」
と新聞をたたむ。
「鷹兄、それって本当に人のしわざ?だって……」
樹が鷹彦に声をかけると
「妖怪のしわざじゃ」
と紅の声がした。
樹は紅の姿を見つけるとかけより
「昨日はよくも逃げたな! どこいってたんだよ」
と問い詰めた。
紅はうっと言葉を詰まらした後、
「どこにいこうとワシの勝手じゃ。それよりもお前の印が濃くなっておるぞ」
と樹の首元を指差した。
それから愉しそうに
「もしかしたらその印主が、人を燃やしておる妖怪かもしれんぞ」
と樹をからかった。
樹の背中にぞくりと悪寒が走った。
まさかと思ったが、違うだろう……違って欲しいと首を振った。
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