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朝食が終わると、掃除の時間になる。
それが秋月家の日課だ。
各人割り当てられた場所を、手分けして掃除しなければいけない。
何せ広い家だ。
使っていない部屋の方が多く、空気の入れ替えをしないと畳が痛んでしまう。
だから、全ての部屋の窓を開けて回るのが樹の一番目の仕事。
樹はいつも通り、一つ一つ部屋を回り窓を開けていく。
その顔はいつもと違い、不安な表情を見せていた。
「まさか……」
言いながら、樹は印に触る。
樹は指先に熱を感じた。
その印の回りだけ熱を帯びているようだ。
それを感じた樹は益々不安な表情になっていく。
「近いぞ」
その声にハッと振り向くと、壁に寄りかかっている紅がいる。
「近い? 近いって?」
紅に詰めより問いただした。
紅はその勢いに圧倒され、逃げ出そうとするがそれより早く樹に腕を捕まれ逃げられなかった。
仕方がない。
といった風に
「鷹彦の元へいくぞ。どうせお前はワシの言うことなぞ聞かぬしな」
面倒くさいと言わんばかりに樹をみやり、捕まれた腕を振りほどき鷹彦がいる台所へとスタスタ歩き出した。
樹は慌て紅の後を追った。
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