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紅は樹が掃除をしてるのを確認すると、鷹彦の元へ戻った。
台所に行くと、鷹彦はまだ先ほどの割れた皿の破片を、丁寧に拾っている。
それを見下ろしながら、紅は鷹彦に話しかける。
「のう鷹彦、忠義と露華に会ってきたぞ。やはりあちらはよいのぉ。魚もうまいし、ワシを大事に扱ってくれる」
目を細め嬉しそうに話す紅に、鷹彦はそんなことより早く話せと言わんばかりに眼光を鋭くした。
鷹彦の珍しい態度に、からかうように紅は言葉を続ける。
「でな、ワシは忠義と露華は好きなのだが、あそこを守るあやつは好きになれなくてのぉ。あやつはワシをわざと入れぬのじゃ。だからいつも城から歩くのだぞ。面倒くさいと思わぬか?」
黙って聞いていた鷹彦だが、とうとう痺れを切らす。
「紅、いい加減教えてくれませんか?」
静かな物言いの下に鋭さを表しながら言う鷹彦に、紅は仕方がないという感じで樹の両親からの言伝てを鷹彦に伝えた。
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