-始-

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     「ここまですごいと逆に才能ですね……」   鷹彦から呆れた声があがる。 散らかり放題の家の中を見て、深いため息をついた。 慌てて樹は鷹彦の側に行き、落ちているものを拾い始める。 紅は楽しそうに樹の様子を見ていたが、首が目に入り眉をひそめた。   「お前、いつの間に印をつけられたのじゃ? これは取れぬぞ。これをつけた奴でないとな」   鷹彦と樹がいっせいに紅を見た。 紅はその視線にたじろぎながらも   「多分どこぞの妖怪のしわざじゃと思うんじゃが、お前の首の後ろに"印"の文字がうたれておる。 それはお前の居場所を知る為の印じゃ。面倒な事になりそうじゃの」   と説明をする。 鷹彦と樹は顔を見合わせ表情を固くし、そしてすがるように紅を見た。
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