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百億……いや
五百億…一千億年の昔だろうか?
宇宙創世の以前
それは
直径百二十億㌔の
エネルギーの塊であった
光も熱も音もない
漆黒の宙に浮く
太陽系ほどの暗黒の球体
そこにはまさに
何もなかった
光がないから時さえもない
原初の宇宙である
しかし
時のないところで 時は流れ
時間のないところで 永劫の時が過ぎていった
そして
ある時
突然に
エネルギーの塊は物質に変わり始める
中性子のような物質である
初め
気の遠くなるような距離にあった個々の物質は
永劫の時のはて
やがて
漂い集まって
薄い中性子の
雲となり
万有引力で引き寄せあって
密度を増していく
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