道化

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      道化は光りが嫌いである       太陽も電気も   勿論スポットライトも…       自分の愚かな姿を   他に見られるのが嫌で     自分の愚かな姿を   認識せざるおえないのが嫌       "笑われる為"だけの衣装に   苦痛で歪んだ顔を"隠す為"の化粧       道化は思う   "コレは俺だろうか"と       惚けたシルエットとして写る   己の足元の影を見て       道化は思う   "輪郭なぞ感じたくない"       己を形成する   或は形成してきた全てに"憤り"       それを写し出す光りを"憎んだ"           彼が"愛した"モノもなければ   彼を"愛した"モノもなかった           気が付いた時には   彼は道化になっていた       定められている運命から   抗う"術"も無ければ   それを教えてくれる"人"も     彼の掌にはなかった               道化は光りが嫌いである       温もりも優しさも   慈しみも明るさも   喜びも心地良さも     認識してもらう嬉しさも   共に生きるぬくもりも       愛も           彼は知らないのだから
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