道化

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      ある雪の日に道化が出会ったのは   マッチ売りの少女     薄手のエプロンスカートに   裸足の足     雪の上に散らばった無数のマッチに囲まれて   横たわっているマッチ売りの少女       道化は思った   "マッチ1箱買ってやる豊かさすらないのか"と     少女を避けて歩く   帽子を被り   コートを着込み   立派な革靴を履いている   無数の大人たち     少女を指差す   プレゼントを抱えた   無数の子供たち       道化は思う   "心なぞ誰も持ってやしないのだ"と           道化はコートを脱ぎ   虫の息の少女に被せた       うっすらと開いた   少女の虚ろな瞳を見た途端   道化は少女に"操られている"と思った     何故なら道化は       少女の躯を抱き上げたのだから
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