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道化は一晩中起きていた
眠りについた少女の横で
"怖い"の意味を探りながら
"人を怖い"と思う少女は
酷く道化と似通っていて
けれど道化より
遥か先を歩いていた
本来"心"とは
生まれながらにして持っている筈なのに
神は"道化"にだけ
それを与えては下さらなかったのだろうか
或は
"道化"は"道化"で在るが故に
それを失ってしまったのだろうか
どちらかと考えたところで
答えなぞ出る筈もなく
ただ
"欠落感"すら"欠落"していた道化が
自分の寝床で眠る少女に
"満たされる"という"違和感"を感じているということは
彼の"時"が動き出した証拠なのかもしれない
道化はいつまでも
得体の知れないざわめきを持て余していた
それは聖なる夜の奇跡
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