やさしい想い出の作り方

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顔が熱い。 真っ赤な色をした憤りが頭の中に充満しているようだった。 何よ!何よ!何よ! 志津川朝陽(しづかわあさひ)は足を踏み鳴らしながら早足で道を突っ切っていた。 何よ!何よ!何よ! 尤も、行き先などはない。 ただひたすらにさっきまでいた場所から遠ざかりたいという思いだけで歩いて来たのだ。 自分が何処にいるのか把握する理性など無かった。 今彼女の頭を占めているのは、彼女自身もよく解っていない、不愉快な感情だけだ。 「何よ!」 不意に立ち止まって、腹立ちまぎれに、だん!と足を踏み鳴らした。 幸いにもそれを見咎める人間はいなかった。 いつのまにか人通りの少ない場所に来ていたらしい。 .
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