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今ほど『お姉ちゃん』でいたくなかった時はない。
加えて、その言葉を言った人を思い出してかえって泣きそうになった。
「…むかつく」
ぽつんと呟き、溜め息をついて泣きそうなのをごまかす。
大分冷えた頭で辺りを見回すが、見覚えのない場所に来てしまっていた。
感情に任せて家を飛び出したものの、誰かに見られるのが嫌だったから人気のない道をひたすら歩いてきたのはぼんやりと覚えている。
確か、家を飛び出して、近所の路地に飛び込んで、人気のなさそうな細い道ばかりを選んで歩いてきたはずだ。
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