やさしい想い出の作り方

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『だって、違うもん』 ふわり、と思い出す数十分前の記憶が、渋面を作らせた。 頭に浮かぶ妹の夕季(ゆうき)はシチューを盛られた食器を前に、泣き出す寸前の顔をしている。 また走りだしそうになる足を抑えて、朝陽は淡々と歩くように努力した。 「…あたしだって解んないもの」 言い訳とも愚痴ともつかない言葉が知らず口から漏れる。 人気のない道も、暗く色彩の乏しい裏路地も朝陽の憂鬱な気分に拍車をかけた。 「……え」 と、歩みが突如として止まる。 通りは大通りに出る事はなく、段々と狭まり、最終的には行き止まりになっていた。 .
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