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「…最悪」
別に急ぐ道でもないのだから、行き止まりになっていようが本当は一向に構わない。
だが、何となく自分の今後が暗示されているようで気分が塞いだ。
引き返そうか、と何気なくその道を塞いでいる建物を見上げて、朝陽は僅かに目を見開いた。
『 新旧書房【留置庵】』
そう書かれた看板が、入口のやや上に建てられていたからだ。
―――…本屋?これが?
別に本屋だという事がおかしいのではない。
おかしいのは、建物の造りだ。
普通の店ならば、店の中が多少なりとも見える造りにするだろう。
しかしながら、この店は全くもって普通の民家にしか見えない。
看板がなかったら解らなくても無理はないような様子だ。
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