第二章.月神村

5/59
前へ
/409ページ
次へ
うわぁ…おばあちゃん家ってここ!? 境内に入り私はその広さに愕然としていた。 お母さんの話では、おばあちゃんは巫の仕事をしているらしい。 巫ってどんな仕事? 疑問に思ったけど、お母さんがおばあちゃんのことを話すのが嫌そうに見えて、それ以上おばあちゃんのことは聞かなかった。 玄関へ入ると優しそうな老女がいた。 「久しぶりね、由美。」 由美とはお母さんの名だ。 もしかして… この人が? 「えぇ、そうね…お母さん。」 やっぱり、そうなんだ。 私は、感慨にふけながら自分の祖母にあたる老女を見た。 お母さんが、私を連れここに行くことを決めたのは、父親との離婚が原因だ。 それが無かったら、ここにくるつもりはなかったと思う。 おばあちゃんと喧嘩したのかな? なんて始めは帰郷しない理由にそう考えていたけど。 今の会話からでは、お母さんが一方的におばあちゃんを嫌ってるって感じだった。
/409ページ

最初のコメントを投稿しよう!

627人が本棚に入れています
本棚に追加