第二章.月神村

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「俺は犬飼晃だ。」 あの紅い瞳の少年が 微かに微笑んで自己紹介をする。 そう…笑って…!? さっきまで無愛想で少しも笑ってくれなかったのに… 私の前だったから? だとしたら、なんかムカつく。 そんなことを思っていると最後に他の4人と違い背の低い男の子がお母さん… じゃなくて私? を見て… 「ぶース。」 と呟いた。 …………は? 一瞬、時が止まったのかとさえ思えた。 「なっ!!!」 思わず立ち上がりそうになる。 「おい、棗。ダメだろ?ちゃんと自己紹介しろ。」 晃という少年が生意気な男の子に諭すように頭をこずくと、彼は 「俺の名は鴉取棗だ。」 さも、自分が偉そうに威張って言う。 こういうのを生意気っていうんだよね。 仕方ない。と何度も自分に言い聞かせ気を鎮めた。 熱くなった頭を冷まし冷静になると、不思議に思った。 でもこれって何の自己紹介? 首を傾げてお母さんを見上げるとお母さんは5人の少年にどこか儚げに微笑んでいた。 「よろしくね?」
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