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「俺は犬飼晃だ。」
あの紅い瞳の少年が
微かに微笑んで自己紹介をする。
そう…笑って…!?
さっきまで無愛想で少しも笑ってくれなかったのに…
私の前だったから?
だとしたら、なんかムカつく。
そんなことを思っていると最後に他の4人と違い背の低い男の子がお母さん…
じゃなくて私?
を見て…
「ぶース。」
と呟いた。
…………は?
一瞬、時が止まったのかとさえ思えた。
「なっ!!!」
思わず立ち上がりそうになる。
「おい、棗。ダメだろ?ちゃんと自己紹介しろ。」
晃という少年が生意気な男の子に諭すように頭をこずくと、彼は
「俺の名は鴉取棗だ。」
さも、自分が偉そうに威張って言う。
こういうのを生意気っていうんだよね。
仕方ない。と何度も自分に言い聞かせ気を鎮めた。
熱くなった頭を冷まし冷静になると、不思議に思った。
でもこれって何の自己紹介?
首を傾げてお母さんを見上げるとお母さんは5人の少年にどこか儚げに微笑んでいた。
「よろしくね?」
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